・もっと部下が主体的に動けるようになってほしい
・部下の成長を支えたい
・チームの力を最大化させたい
こう考えるチームリーダー、マネージャーの方は多いのではないでしょうか。
部下の気づきを引き出し、主体的な行動を促すことができるリーダーシップを持つことができるかどうかは、
この「オートクライン効果」を意識し、コミュニケーションが取れるかどうかにかかってきます。
そこで今回は、
オートクライン効果の意味やメリット、効果を発揮する3つのポイントをご紹介します。
この記事を読めば、普段の部下とのコミュニケーションが変わり、オートクライン効果を発揮し、
主体的に行動できる部下を育てることができるでしょう。
オートクラインとは
オートクラインとは、
もともと生物学用語で「分泌された物質が、分泌した細胞自身に作用すること」という意味です。
対人関係、コーチングにおけるオートクラインとは、
「自分が発した言葉を自分で聞くことによって、自分が考えや感じていたことに気づくこと」をいいます。
ふとした会話の中で、「今話してて気づいたんですけど、、」っていう発言ありませんか?
例えば、
仕事の場面で最初は内容がまとまっていないまま話し始めていても、会話をするうちに大切なポイント、重複や間違いなどに気が付き、
何回か会話を繰り返すうちに、内容がまとまってきたということもよくあると思います。
また、自分自身について話すとき。
会話をしているうちに自分の感情の動きに気がつき、自分の価値観が見えてきたり、
考えの整理がつき、不安だった気持ちが少しずつ気持ちが楽になることもよくあります。
これは全部オートクライン効果によるものです。
オートクライン効果をうまくマネジメントに活かすことができれば、
部下の行動を促すことだけでなく、チームの力を最大化させるきっかけになること間違いなしです。
オートクライン効果のメリットとは
では、オートクライン効果がもたらすメリットは何でしょうか。
行動につながりやすい
オートクライン効果は、
他人からの指示ではなく、自分が発した言葉によって、今まで気づいていなかったことに気づくことができます。
そのため、部下が行動するとき、素直に行動できます。
上司や同僚など他人からの助言やアドバイスは、納得できないと行動できない人が多いです。
少しでも「私はこう思う」「絶対にこうした方がいい」など、反発するような思いがあると、行動が抑制されてしまいます。
また、行動のスピードも速くなります。
上司から依頼したタスクを後回しにして、部下自ら考えたタスクは早くこなす人、よく見かけませんか?
自ら気づいたことであるからこそ、行動が早いのです。
このように部下が自ら行動を起こすためには、オートクライン効果を通して気づきを得ることが大切です。
そのため、オートクライン効果を妨げるような発言や態度を、上司は決してしてはいけないのです。
感情や考えを整理できる
上司から頼まれた納得しないタスクでも、納得して部下が行動するようになるのも、オートクライン効果が必要です。
納得していない理由をしっかりと聞き、部下の口から発言することで気持ちや考えの整理がつきます。
「私はこう思う」という意見であれば、
・どうしてそう思うのか
・上司からのタスクと違うポイントはどこか
・上司からのタスクと共通するポイントはどこか
・部下はどういうゴール(理想)を描いているのか
など、部下の想いを聞き、部下の口から思っていることを発言していくことで、
部下が自分の気持ちや考えに納得し、タスクを実行してくれます。
ただし、感情のマネジメントやコントロールは、心理学やコーチングへの理解が必要な場合があります。
きちんと身に着けたいのであれば、コーチをつけコーチングを受けることをおすすめします。
オートクライン効果を引き出す3つのポイント
オートクライン効果を引き出すにはどうしたらよいのでしょうか。
3つのポイントについて解説していきます。
話を聴く(傾聴)
まずは話を「聴く」こと。
「聞く」ではなく「聴く」ことです。
単純に言葉や内容を聞くのではなく、部下の話に興味、関心を持って耳を傾けることが大切です。
また、声の大きさや抑揚、表情の移り変わりなどにも着目して話を聴きましょう。
決して「分かったつもり」になってはいけません。
上司と部下の関係において、よくある会話として、
上司が部下の話の途中で、部下の言いたいことや解決方法を勝手に解釈・予想し、口をはさんでしまうこと。
また、部下の話に興味を持って聴いてみましょう。
適度な相槌や頷きを入れることで、興味を持っていることが部下にも伝わります。
部下の話が終わるまで、興味を持って聴く側に徹しましょう。
問いを投げかける(質問)
質問も重要です。
質問するときのコツは3つあります。
①端的に質問する
②なるべくオープンクエスチョンで質問する
③物事ではなく、気持ちに焦点を当てる
①端的に質問する
とにかく端的な質問を心がけましょう。
質問に説明や背景は必要ありません。
例えば、
「●●さんは△△について、〇〇と感じていると思うんだけど、××が□□だとしたらどう思うかな?」
というのはNGです。
良い例としては、
「●●さんにとって、△△はどんなイメージ?」
と質問してみましょう。
②なるべくオープンクエスチョンで質問する
質問にはオープンクエスチョンとクローズドクエスチョンの二種類あることはご存じでしょう。
クローズドクエスチョンは答える選択肢が限られてしまうため、誘導的にもなりやすく、オートクライン効果が得られにくいです。
上司から部下へ質問をする際は、オープンクエスチョンを活用しましょう。
③物事ではなく、気持ちに焦点を当てる
仕事の場での会話では、物事に着目しがちです。
部下の気持ちに着目してみると、興味がわいたり、話を聴くことができます。
また気持ちの変化に着目することで、安心して部下も話してくれるようになります。
今一度、部下の気持ちにフォーカスして質問してみましょう。
こうすることで、オートクライン効果を引き出しやすくなります。
相手を認める(承認)
部下を無条件に認めてあげましょう。
認めることで「安心感を与える」ことができます。
話の途中で口をはさんだり、否定したり、あなたが部下の話をさえぎってはいけません。
また、たとえ部下が間違っておりあなたが正しかったとしても、
「正しい」「間違い」などの判断を下してはいけません。
判断によるバイアスがかかってしまい、
上司の前で間違ったことを言ってはいけない、
正しいことを言わなければいけないと感じてしまいます。
そのため、本当は感じている感情や本音を素直に出すことが難しくなってしまいます。
基本的には、部下が話をしている「事実」のみだけ受け入れるようにしましょう。
部下の話を100%聞き入れることで、部下を100%認めることができます。
オートクライン効果を引き出す4つの質問ポイント
では、どんな質問を部下に投げかけたらよいのでしょうか?
4つの質問ポイントと具体的な質問例をここでは紹介していきます。
理想を明確にする質問
まずは理想を明確にしていきましょう。
以下のような質問を使って、できるだけわかりやすく数字化することでイメージを明確にしていきましょう。
・どのような状態が理想ですか?
・その状態になったら、どんな気持ちになりますか?
・その状態はいつまでになっていたいですか?
・理想の状態を想像してみると、何が見えますか?
・その状態を色で表すと何色ですか?
・その理想はどのくらい重要ですか?
部下の「やりたいこと」をうまく引き出してみましょう。
熱量をもって、努力できることは何なのか。対話の中で明確にし、しっかりと認識しましょう。
現状を確認する質問
理想が明確になったら、現状を把握しましょう。
現状がわかれば必要な行動や要素が見えてきます。
・理想を100%とすると、現状は何%ですか?
・理想から考えると今はなにが足りないですか?
・現状特に満足していない部分はどこですか?
・現状から見た理想はどんなものですか?
・理想を本気で目指したいですか?
現状を把握するのは、理想に対して今の自分がどのくらいの位置にいるのかを確認させるためです。
部下が認識している事実をしっかりと受け止めましょう。
ここであなたが意見を言ったり、否定したりしてはいけません。
行動を促す質問
理想と現状との間のギャップが明確になったら、
そのギャップを埋めるために何が必要かを部下が自ら気づく必要があります。
例えばこんな質問をしてみましょう。
・理想に近づくために一番必要なものは何ですか?
・具体的に行動にするとなると何ができそうですか?
・それ以外に方法はありますか?
・その行動を達成したら、どのくらい理想に近づきますか?
・いつその行動を実行しますか?
・その行動にはだれかほかの人を巻き込む必要がありますか?
・その行動を起こすために障壁になっていることはありますか?
行動は必ず部下側から決めましょう。
上司側からアドバイスや修正をしてはいけません。
視点を変える質問
理想を目指すうえで、具体的な行動を見つけるコツがあります。
それが「視点を変えること」。
通常、部下は部下の視点で理想を目指そうとします。
その場合、視野が狭くなっている場合が多いのです。
そんな時、上司の方から、視点を変える質問をしてみましょう。
例えばこんな質問です。
・すべての制約がなかったら、どんな選択肢をとりますか?
・十分な予算があったら、どうしますか?
・上空から見ると、今のあなたはどう見えていますか?
・10年後の自分から今の自分を見るとどうですか?
・社長の●●さんなら、どのような行動すると思いますか?
・有名人の■■さんなら、どのような行動をすると思いますか?
部下が今まで考えてもみなかった視点を加えることで、
思わぬヒントや行動を見つけることができます。
オートクライン効果を引き出すときの注意点
オートクライン効果を引き出すにはいくつかの注意ポイントもあります。
普段の仕事上ではやってしまいがちな言動もありますので、今一度気を付けてみてください。
「なぜ」は使わない
仕事上でよくある、「どうしてそう思う?」「なぜどう考えた?」など、
相手の意見の意図や背景を聞くときに使う言葉ですが、
オートクライン効果を引き出すにはNGになります。
なぜなら、部下側からすると高圧的に聞こえてしまい、答えにくくなってしまいます。
「何か間違ったことを言ってしまったかな」と思ってしまい、心理的安全性が保たれません。
では、どうすればいいのでしょうか。
まずは部下の話に相槌をうち、復唱したりすることで相手の存在を認めます。
そのうえで、「何があったら達成できる?」や「何が足りたいと思う?」など、「何が」を使ってみましょう。
誘導しない
上司のあなたの発言で、部下の意見や行動を誘導してはいけません。
相手の中にある答えを引き出すために質問をします。
「言わされた」と思われてしまっては、部下の自発的な行動にはつながりません。
誘導はせず、部下のありのままの状態を受け入れ、話の内容や表情などに集中しましょう。
ミーティングにも時間があるとは思いますが、
時間に縛られてしまうと、答えを急いでしまったりします。
急いでしまうがゆえに誘導してしまうことも避けましょう。
ひとことメッセージを伝える
部下が自分の声を聴いて気づくのがオートクライン効果ですが、
どうしても相手から答えが出てこないという場合には、特別に「ヒント」を与えることは可能です。
ただし、伝え方には1つポイントがあります。
「私は、〇〇だと思う」「私は△△だと感じたな」など、
「私は」を枕詞として、ヒントを伝えましょう。
こうすることで、上司のあなたの意見だと部下は認識し、
安心して聞き入れることができます。
オートクライン効果を阻害する上司のNG行動
上司が話しすぎ
立場が上の人ばかりが話してはいけません。
部下が上司の話を遮れないのは当たり前です。
上司が話せば話すほど、部下は話しにくくなり、オートクライン効果を感じる場面も少なくなります。
意図的に部下の時間を作ってあげましょう。
理想の話す割合は、上司:部下=2:8です。
聴く側に回ってみましょう。
アドバイスする
求められていないアドバイスは厳禁です。
部下が話をしている最中に、上司がアドバイスをしてしまうと、
部下が委縮し、話しにくくなるだけでなく、本音を吐き出しにくくもなります。
アドバイスをすること自体は全く悪いことではありません。
部下のほうからアドバイス求められたらすべきですが、アドバイスを求められる前に、部下が自分の状態に気づく方が優先です。
まとめ
オートクライン効果を知っておくだけでも、あなたのリーダーシップは変わるでしょう。
特に現代の若手人材を育てるのに役に立ちます。
部下自身が考え、気づき、行動ができるような自立自走の組織が出来れば、生産性も高く、結果も最大化を実現できることでしょう。
明日からは相手の考えに興味をもち、相手自らが気づくことをサポートしてみてください。
たったこれだけで、相手は「自分で選んだ」と認識し、納得感が生まれ、行動が変わってきます。
WithCoachでは、自分らしい答えが見つかる「自分らしさコーチング」を提供しています。
自分がどんな想いで仕事に取り組んでいるのかを話す場はありますか??
仕事、家庭、友達。自分の想いを人に打ち明けるのって、なかなか勇気がいるものです。
コーチングは100%、あなたが自分の話をできる場所です。
体験コーチングも行っていますので、ぜひ活用してみてください。
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