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自己効力感(セルフ・エフィカシー)とは?自己肯定感との違いと高める5つの方法

“自己肯定感”と似た言葉に「自己効力感」というものがあります。

近年はコロナや国際情勢によって、社会的変化が激しく先行きが不透明な時代、VUCA(ブーカ)の時代ともいわれています。
※VUCAは、こちらの4つの単語の頭文字をとった造語です。

  • Volatility:変動性
  • Uncertainty:不確実性
  • Complexity:複雑性
  • Ambiguity:曖昧性

このように変化が激しい時代の中で私たちは生きていかなくてはいけません。
残りの人生を生きていくうえで、経験したことのない問題や課題に直面することも多くあるでしょう。

そんな時、
「どんなことが起きても、生き抜いてやる!」と自信をもって言えるでしょうか?

簡単に言ってしまえば、自己効力感とは、こういった生きていくうえでの”自信”のことを指します。

この記事では、自己効力感について解説していきます。
そもそもの意味や自己肯定感との違い、高める方法・メリットなど、詳しく説明していきます。

自己効力感とは

自己効力感とは、これからの時代を生き抜いていく能力を自らが持っていると認識することを指します。

簡単にいうと「自信」です。
「なんとかなる」「自分ならできる」「きっと大丈夫」と思える認知状態のことです。

少し難しくすると、自己効力感とは、
どんな状況下でも成果を出すために、自らの行動を意思決定し、自分ができる最大の能力を発揮できることを認知できている状態のことです。

英語では「Self-efficacy(セルフ・エフィカシー)」とされています。

自己効力感が高まれば、優越感が生まれ、
自己効力感が低くなれば、劣等感が生まれます。

自己効力感を高めることで、自分の人生やキャリアに自信を持つことができ、変化が激しい環境でも自信をもって前を向いていけるのです。
特にビジネスシーンでは、自己効力感を高め、適切に優越感を持つことも大切なのです。

自己肯定感との違い

自己効力感と似た言葉に、「自己肯定感」というものがあります。
どちらも大事な概念です。似て非なるこの2つの言葉の違いを解説します。

自己肯定感とは、「ありのままの自分を肯定し、自分の価値や存在を肯定できる感覚」のことです。

自己肯定感が高い状態は、自己受容が高く、ありのままの自分を受け入れている状態のため、
たとえ失敗をしたとしても、次はもっと頑張ろう!と自分を肯定することができます。

一方、自己効力感とは、
これからの時代を生き抜いていく能力を自らが持っていると認識することを指します。

そのため、「自分は大丈夫だ。自信をもって生きていける自信がある。」という確固たる意志があることが”自己効力感が高い”状態であり、
「自分には無理だ。自信をもって生きていけるか不安だ。」と感じていることは、”自己効力感が低い”状態であると言えます。


それぞれのポイントをまとめるとこうなります。
【自己効力感】
これから生きていくにあたり、「きっと大丈夫、うまくいく」と自分に自信がある状態のことです。
つまり、”自分にはできる”と自分を信じることができている状態です。

【自己肯定感】
自己受容の上で、「自分には価値がある」とありのままの自分を認めることができる状態のことです。
つまり、”できるできないに関わらず”、自分の存在価値を認められている状態なのです。


◆自己肯定感についてはこちらの記事をご参考に!
現代の課題「自己肯定感」とは?低い人の特徴と高めるための5つの方法を解説!


◆自己受容についてはこちらの記事もご参考に!
自己受容とは?自己肯定感との違いと自己受容のための5つの方法

自己効力感の提唱者

自己効力感は、心理学用語の一つです。
スタンフォード大学の教授で心理学者のアルバート・バンデューラ博士という人によって提唱されたものです。

バンデューラ博士はブリティッシュコロンビア大学卒業後、1964年にアイオワ大学にて博士号を取得し、臨床実験を重ね、心理学の分野で活躍しました。

バンデューラ博士が追求したのは、「恐怖の克服」という分野でした。
バンデューラ博士は、さまざまな恐怖症を克服した人たちにインタビューを行い、「強い恐怖感を克服した人間は自分自身を肯定的に捉える心理が働く」ようになると発見します。
その後、自己効力感を保持する人は、「失敗や障害/困難や難題にぶつかっても、挑戦し、たとえ失敗しても比較的早く立ち直る」ということが、のちの研究で明らかになりました。

したがって、自己効力感が高いことは、困難な状況下であっても行動の原動力になると示しました。

自己効力感の重要性

自己効力感の重要性は、近年心理学以外の分野にも広がり始めています。

ビジネスや教育、予防医学、産業の分野で活用されています。

これは、
・自己効力感は行動の変化を引き起こす先行要因であること
・自己変容できる認知的変数になりえること
・人間の行動変容を確実に生み出すことができる
ということが、広く社会に認知されるようになったためだといわれています。

外的環境がめまぐるしく変わる現代において、自ら行動を起こし、変化/変容していく人材が求められているということでもあります。
直近では「リスキリング」というワードが話題ですね。

◆リスキリングについてはこちらの記事もご覧ください!
何をリスキリングすればいい??20代30代がリスキリングする前に考えるべきこと

自己効力感のタイプ

自己効力感は、心理学的に3つのタイプに分類して説明されます。

自己統制的自己効力感

一般的に自己効力感を指す場合は、この自己統制的自己効力感を指すことが多いです。

自己統制的自己効力感とは、自分自身の行動をコントロールできる状態のことを指します。
「自分にはできる」と自分自身に自信がある状態とも言い換えることができます。

困難な状況や課題に直面したとしても、ポジティブに捉え、積極的に臨むことができます。
また、困難に直面し解決するまでの継続的なモチベーションや忍耐力なども含め、自分自身の感情と行動を統制できている状態を保てる能力ともいえるでしょう。

社会的自己効力感

社会的自己効力感とは、対人関係の中で発揮される自己効力感のことです。
人間関係に悩みが多い方にとっては、重要な自己効力感です。

同僚や上司、友人関係や近所付き合いなど、様々な人と関わる中で、うまくいかないこともあると思います。
そんなとき、「自分ならきっと仲良くなれるはず」という気持ちで相手と接することができれば、相手とうまく関係を気づけるはずです。

これを読んで「私には無理だ」と思った方、きっといるはずです。

安心してください。
この社会的自己効力感は、乳児期から児童期において最も発達するといわれていますが、大人になっても持続、発達させることが可能です。

特に現代は多様性の時代ともいわれます。
社会的自己効力感を高めることで、人種/性別/文化を超えた多様な人たちと協力や協働していくことができるのです。

学業的自己効力感

学業的自己効力感は、学習における自己効力感のことです。

これまで通ってきた学校や塾、予備校など、学業における達成感によって、この自己効力感は育まれます。
「難関私立校に合格した」「難関資格を取得した」など、学習によって成果を得られた経験から生まれるものです。

学歴に自信ないんだよな。。と思った方!
安心してください。

社会人になってからでも、学業的自己効力感は高められます。
例えば、新しくITスキルを身につけたら、新しい仕事やプロジェクトにアサインされた。などです。
また、一度社会に出てから大学院に行く、公認会計士や弁護士など難関資格を取得するなど、学習の道は様々あります。

学業的自己効力感が高めることで、社会に出てからも難しいスキルが必要な場面でも、自ら積極的に学習得することができるようになるのです。

自己効力感の構成要素

自己効力感は、結果予期(結果期待)と効力予期(効力期待)の2つの要素で構成されています。
これは「こうすれば成功できる(結果予期)」「成功法で実行することができる(効力予期)」という行動を起こすための意識のことです。

【結果予期(結果期待)】
1つ目は、結果予期(結果期待)です。英語ではOutcome Expectancyです。

結果予期とは、過去の経験や学習した知識など「過去」をもとに、これから起こす行動を取った際に生じる結果を予測し、未来(結果)について予測(予期)することです。

例えば、1回目の転職活動で成功した経験をもとに、2回目の転職活動では職務経歴書の書き方を工夫してみようなど、
過去の経験を踏まえて、これから起こる結果を予測することが、結果予期です。

起こりうる結果をはっきりイメージし、その結果から自分が受け取るメリットを予測することです。

【効力予期(効力期待)】
もう1つは、効力予期(効力期待)です。英語ではEfficacy Expectationです。

効力予期とは、ある結果を生み出すためにすべき行動を、自分が実行することができると信じていることです。

例えば先ほどの転職活動を例にすると、
履歴書や職務経歴書の作成、転職エージェントとの面談、企業との面接準備、年収の交渉など、
「転職活動を成功させることができる」という確信を持つことを指します。

この結果予期と効力予期の高低、つまり「どれだけ自分を信じることができるか」によって、人間の行動が変わっていくのです。
ポジティブな結果を予測し、その結果に向かう行動に自信を持つことができれば、どんなことでも取り組むことができるようになるでしょう。

自己効力感を高めるために押さえておきたい4要因

先述の通り、自己効力感は社会人になってからでも高めていくことが可能です。
自己効力感を高めるうえで押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。

遂行行動の達成
遂行行動の達成とは、自ら行動し、成功体験を積むことで、自己効力感を高めるというものです。

その行動が困難であればあるほど、かけた労力や時間が大きければ大きいほど、大きな自己効力感につながります。
自分の力で困難な課題を乗り越えることができた、という体験は「やればできる」という自信を持つことができるとともに、自分の能力を認識するきっかけにもなります。

代理的経験
代理的経験とは、遂行行動の達成とは異なり、自分自身の行動ではなく、他人の成功体験を見聞きすることで「自分にもできそうだ」と認識し、自己効力感を高めるというものです。

この代理的経験には、「類似性」と「優位性」の2つのパターンがあります。
前者は、「能力や経験が近いあの人が成功できたなら、自分もできるな」という考え方です。後者については、「あの人ができたなら、自分ならもっとよい結果を残せるだろう」という考え方です。
どちらのパターンも、ビジネスやスポーツなどさまざまな分野/場面で起こっています。

言語的説得
言語的説得とは、周わりの人から「あなたならできるよ!」「よくやりぬいたね!」といった言葉で励まされたり、褒められたりすることで自己効力感が高めるというものです。

自分の能力やスキルを他人に褒められると、人は自分を肯定されたように感じます。
そういったポジティブな言葉から自己認知が深まり、「自分にはこんなスキルがある」「自分はこんなことができる」といった自信につながるのです。

情動的喚起
情動的喚起とは、自分の体調が自己効力感に影響するということです。

例えば、鼓動や脈拍が落ち着いているとき、心が穏やかで物事を冷静に考えられている状態は、自己効力感が高い状態です。
反対に、不安やストレスを感じ、落ち着きがなく、鼓動や脈拍が速くなっているときは、自己効力感も低くなります。

つまり、心と身体の健康や状態を整えることが自己効力感の高める1つの方法であるということです。

自己効力感を高めるメリット

自己効力感が高い人は「自分ならできる」と自信を持つことができると様々なメリットがあります。
ここでは、自己効力感を高める3つのメリットをご紹介します。

チャレンジングになれる

1つ目のメリットは、チャレンジングになれることです。

「自分ならできる」と信じているため、やったことないことや先行きが見えない環境でも、積極的に挑戦することができます。
また、困難な状況にも恐れることなく、周囲からの学びを行動に変え、諦めずに行動し続け、その状況を乗り越えようとします。
これに伴い、行動量が増えるため、乗り越えられる可能性が高まり、人生がより良いものになります。
さらに、人生がよりよくなると、さらなる挑戦を求め、自己効力感がもっと高まるサイクルを生み出すことができます。

落ち込まなくなる

2つ目のメリットは、落ち込まなくなることです。

「自分ならできる」と信じていれば、一度失敗しても再挑戦ができたり、方向性の転換など、失敗をポジティブに捉えることができます。

誰にでも失敗はあります。
自己効力感が低いと、「やっぱり自分には無理だ」「また同じ失敗をしてしまうかもしれない」と思い込みがちになり、落ち込みやすくなります。また、失敗から立ち直るにも時間がかかる傾向にあります。

一方、自己効力感を高い状態であれば、「次は大丈夫」「絶対乗り越えてやる」と、ポジティブに気持ちを持っていくことができます。
失敗したとしても、「次はどうすればいいか」を考えることができ、結果的に乗り越えることができるのです。

モチベーションを維持できる

3つ目のメリットは、モチベーションを高く保てることです。

問題や課題を乗り越えるには、継続的に取り組みが必要です。
継続的に物事に取り組むためには、モチベーションを保つことが重要です。

自己効力感は、結果が生まれるまでの過程でモチベーションを維持するためにも効果を発揮するのです。
「これを乗り越えればきっと結果が見えてくる」と、つらい場面でも自分に自信を持ち、モチベーションの高い状態を保ち続けることができます。

自己効力感を高める5つの方法

具体的に自己効力感を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。
先述した4要因をもとに自己効力感を高める5つの方法をご紹介します。

成功体験を積む

自己効力感を高めるため方法1つ目は、自らの力で何かを達成した成功体験を積むことです。
「遂行行動の達成」の観点から自己効力感を高める方法です。

過去の経験や今持っているスキルをもとに、成功体験を積むことで自信を持つことができます。

ここでの成功体験は必ずしも大きな成功である必要はありません。1日単位で日々達成していくような小さな目標で構わないのです。
大きな成功を求めすぎて、なかなか成果が出ないと、途中で挫折して「自分にはやっぱり難しいんだ」と、逆に自己効力感を低くしてしまう可能性があります。
そのため、小さな目標のほうが取り組みのハードルが低く、徐々に何度を上げていくことで、徐々に自己効力感を高めることができます。

また、自分が気が付いていないだけで、すでに自己効力感が高まるような成功体験をしている場合もあります。
まずは、過去の経験やスキルを振り返り、職務経歴書を書くように、リストアップしてみるのもおすすめです。

ロールモデルを見つける

自己効力感を高める2つ目の方法は、ロールモデルを見つけることです。
他者の成功体験を見聞きする「代理的経験」の観点から、自己効力感を高める方法です。

ロールモデルすべきは、能力や経験が自分に近しい人物ほど効果的です。
そのため、身近にいる友達や先輩、会社の上司や同僚などをロールモデルとするのが一般的です。
そのロールモデルの成功までの過程や取り組みをヒントにして、自分にできそうなところから実践していくのがこの方法です。

あまり身近にいないなと思った方は、Linkedinで探すことがおすすめです。他人の経歴や経験が細かく出ているため、自分の経験と照らし合わせやすいと思います。
同じSNSでもInstagramは避けた方がよいです。Instagramは個人が自信を持っていることを発信する傾向があるため、「自分はこんな風になれない」など、どうしても比較してしまい、逆に自己効力感が低くなってしまう可能性があるためです。

ボジティブ変換する

自己効力感を高める3つ目の方法は、他人からかけられた言葉をボジティブに変換することです。
「言語的説得」の観点から、自己効力感を高める方法です。

他人から言葉を受け取ったときに、相手の言葉を自分自身の言葉でポジティブに変換することが大切です。

かけられた言葉をそのまま受け取り、傷けられた経験が一度はあるでしょう。
例えば、「どうしてできないの?ほかのことに気を取られすぎじゃない?」と注意を受けたとします。
そのまま受け取ってしまうと、「自分はできないダメな人間なんだ」と認識してしまいます。
これをポジティブに変換すると、「指摘された部分以外はできている」「ほかのことにも気を配れている」とも捉えられるのです。

こんな風にネガティブにかけられた言葉を、自分の言葉に言い換えて、ポジティブに捉えることで、自己効力感は自然に高まっていきます。

心身の健康を意識する

自己効力感を高める4つ目の方法は、心身の健康を意識することです。
「情動的喚起」の観点から、自己効力感を高める方法です。

生活や身体の乱れは心や精神の乱れにつながり、健康の不安は普段のパフォーマンスに悪影響を及ぼし、自己効力感も低下していきます。

まずは自分の生活リズムを見直し、乱れている部分は正していきましょう。
1日3食バランスの良い食事、1日8時間以上の睡眠、週2日は適度な運動など、自分の身体にあった健康を目指してみましょう。

私自身も、茶道とマインドフルネスを取り入れ、精神の健康を保ちながら、
毎朝ストレッチと週2日のジムによって、身体の健康を保つようにしています。

心にも身体にもストレスを溜めず、健康な状態であり続けることが、自己効力感の向上につながるのです。

コーチングを受ける

自己効力感を高める5つ目の方法は、コーチングを受けることです。
「遂行行動の達成」「言語的説得」の2つの観点から、自己効力感を高める方法です。

・自分は何ができるんだろう
・自分の経験をうまく言語化できない
・自分に対してポジティブな言葉をかけてもらえる機会がない
・ポジティブ変換がなかなかできない

ここまで読んでみて、上記のように感じた方はおすすめの方法です。

コーチングとは、あなたの過去の体験や経験から、できることや価値観を言語化していくものです。
また、コーチングの時間はすべてあなたのための時間です。そのため、ネガティブな言葉をかけることはありませんし、安心して受けることができます。

コーチングを受けた後は、受ける前より自己効力感が高まっていることは間違いないです。

WithCoachでは、自分らしさが見つかるコーチングを提供しています。
体験コーチングも行っていますので、ぜひ活用してみてください。



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コーチプロフィール

自己効力感を高めて、人生を充実させよう!

いかがでしたでしょうか。


今回は、これから変化の激しい時代を生き抜いていくうえで自己効力感が大切です。
自己効力感が高いと、チャレンジできる意欲が生まれ、失敗しても落ち込みにくく、常に高いモチベーションを維持できるようになります。

小さな成功体験を積む、ロールモデルを見つける、ボジティブ変換する、心身の健康を意識する、コーチングを受けるなどで、社会人になってからでも自己効力感を高めることは十分可能です。
自分に合った方法で、自己効力感をぜひ高めてみてくださいね。

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